卵巣の腫瘍というと、何だかとても遠いお話のように聞こえますよね。
けれど卵巣腫瘍は、性別的に女性である方なら、誰にでも起こる可能性のある病気なのです。
ミュージシャンの宇多田ヒカルが、この卵巣腫瘍で手術を受け、その後治療のための薬の副作用で体調を崩して休養、というニュースが流れたことで、特に女性の間で卵巣腫瘍への関心が高まっています。
卵巣の病気が恐ろしいのは、卵巣が「サイレントな臓器」と呼ばれるほど、何かトラブルがあっても中々症状が現れず、トラブルを自覚できない、という点です。
女性にとって卵巣は、健康のリズムをつくる大切な臓器ですので、卵巣に関する知識はトラブルが起こる前にきちんと学習しておきましょう。
日頃の注意深い観察が必要とされますが、何しろ自覚症状の出にくい臓器ですので、定期的に検診を受け、婦人科のプロフェッショナルにチェックして貰うことが一番です。
生理不順、生理通、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮がん、乳がん、不妊症など、女性には女性特有の病気があり、それらは基本的に卵巣が直接的に関係して引き起こされます。
卵巣は非常にデリケートな臓器ですので、特に何も問題はない、と思っていても30歳を過ぎたら必ず婦人科で定期検診を受けるようにして下さい。
治療が手遅れになると妊娠できない身体になるなど、深刻な事態に陥ってしまいます。どの病気にも言えることですが、早期発見による早急な対応が回復への近道なのです。
卵巣嚢腫とは、女性だけに起こる病気の1種ですが、卵巣に液状の成分が溜まり、腫れてしまっている状態です。
卵胞や機能性の嚢胞など、生理的に大きくなった自然の現象とは違い、外壁を構成する細胞が腫瘍性であると判断され、内容液は腫瘍細胞から分泌されて貯留する液状の成分になります。
一般的に無症状であることが多いのが、卵巣嚢腫の怖いところですが、茎捻転を起こすと、耐えられないような非常に強い痛みを感じることがあります。
茎捻転を起こさなくても、腹痛、腰痛などで異変を感じたり、また自分で腫瘤を触知するケースもあります。
普段から生理通が激しい方ですと「いつものこと」と症状を見過ごしてしまう可能性がありますが、卵巣チョコレート嚢胞の場合には、月経痛が強くなる傾向があります。
これは子宮内膜症の合併による痛みです。
一般的には婦人科で受診の際、内診やエコーで卵巣嚢腫は発見されることが多く、その腫瘍がどのタイプにあたるのか、良性か悪性かを調べるなど、腫瘤を診断するには画像診断の方法がとられます。
治療方法は、患者さんが将来的に妊娠を希望している場合、30代までの女性なら、卵巣腫瘍だけを核出し、卵巣の正常な部分は温存する処置を行うのが一般的です。
けれど茎捻転によって卵巣が壊死してしまっているケース、妊娠が難しい40~50歳以降の年齢の女性、悪性の可能性が否定できないケースでは、片方の卵巣を全部摘出することがあります。
卵巣の全摘出は何としてでも避けたいものですから、自覚症状がなくても定期的な婦人科検診は欠かせません。
卵巣脳腫の症状が自覚症状となって初めて現れるのは、脳腫がこぶし程度のサイズに大きくなってからです。
例えば頻尿も卵巣脳腫の自覚症状の1つに挙げられますが、これは大きくなった卵巣脳腫が、周囲の膀胱や尿管を圧迫することによって刺激され、頻繁に尿意をもよおすしてしまうのです。
また、卵巣腫瘍が腸を圧迫すれば便秘になりますが、一見便秘と子宮の病気は結びつきにくいので、便秘になったからといって卵巣脳腫の可能性を疑う方はあまりいらっしゃいませんよね。
それに便秘は女性の多くが日常的に経験している症状でもありますし。
更に月経時以外でも、腹痛や腰痛が起こる場合があり、なんとなくお腹が膨らんでいる気がする、不正出血がある、おりものが水っぽい・・・という症状が現れることもあるようです。
月経や排卵時にも、通常より痛みは強くなる傾向にあります。
また、痛み方も普段とは違うということが多くあります。緊急事態で危険なのが茎捻転で、脳腫の根本がねじれてしまう場合です。
かなりの激痛を伴い、吐き気や出血、感染している場合には発熱も起こります。
特にひどい場合にはショックで意識不明に陥ってしまうこともあるので、緊急手術が必要になります。
放置すれば卵巣に血が巡らなくなって壊死してしまいます。
どのサイズにも茎捻転は起こる可能性がありますが、5~7cm以上など、ある程度の大きさ以上になると茎捻転が引き起こされる可能性は、それだけ高くなります。
卵巣膿腫のイメージとしては、ぶよぶよした水風船のような感じです。
卵巣の中に分泌液が溜まって腫れてしまうのが卵巣膿腫ですが、卵巣の中に溜まる液体の種類によって、「皮様膿腫」、「偽ムチン膿腫」、「しょう液性膿腫」の3種類に分けられます。
「皮様膿腫」が見られるのは、成熟期の女性で、妊娠中に発見されることもよくあります。
人間の臓器が一部できているといった感じなのですが、髪の毛や歯、筋肉などが含まれています。
「偽ムチン膿腫」は、更年期の女性にできることが多く、溜まる膿腫はねばねばとした粘度の高い液体です。
これは人間の身体にできる腫瘍の中では一番サイズが大きく、ひどい場合には、人間の頭ぐらいの大きさになることもあるというので、驚いてしまいますよね。
そして「しょう液性膿腫」は、卵巣膿腫の中で最も起こる頻度が高い膿腫です。
10代~30代といった若い年齢層の女性に最も多く見られるのが特徴で、卵巣の中に溜まる液体は、水のようにさらさらしています。
また、以上の3種類の膿腫とは少しタイプが異なりますが、「チョコレート膿腫」という膿腫もあります。
チョコレート膿腫は卵巣の中に子宮内膜症ができてしまい、子宮内膜症が産出する月経血が子宮の中に溜まって袋状になったものです。
その様子がまるでチョコレートのようにみえるので、病名に使われるようになりました。
厳密に言うと卵巣膿腫に含まれないのは、原因が子宮内膜症と明確に分かっているからです。
卵巣が腫れることによって様々なトラブルが引き起こされます。
卵巣に発生した腫れモノが要するに腫瘍と呼ばれます。
卵巣は子宮の両脇にあり、サイズは親指の頭ほどの臓器です。
女性が妊娠するために必要不可欠な臓器である子宮と卵巣は、靭帯といわれる紐のようなものでお腹の中に固定されています。
卵巣の中の腫れモノである巣腫瘍には風船の中に水、脂、粘液、古くなってしまった血液などの液体がたまっているようなタイプ、「ソフトボールのように」と表現されることもありますが、中に完全に何かが詰まっているタイプ、またこの両者が混ざっているタイプがあります。
胃腸などの病気であれば、比較的自覚症状は早期に現れ、食欲がない、胃が痛い、下痢、便秘などの症状によって胃腸の異変をすぐに感じることができますよね。
けれど卵巣の働きとは、血液中にホルモンを分泌させたり卵子を育てる仕事をするので、胃腸のようにお腹の中で動いているわけではありません。
従って比較的大きなサイズにならないと、症状が現れにくく、患者さんも異変を感じにくいのです。
ある程度の大きさになれば下腹部が腫れている感じ(下腹部膨満感)を自覚したり、不快感、腹痛、腰痛、いつもよりひどい月経痛といった症状が現れてきますが、こうした自覚症状が現れてからだと既に病状が進行している段階ですので、非常に危険な可能性が高くなってしまっています。
最悪の場合は破裂して救急車で運ばれる事態をも引き起こします。
卵巣のう腫の存在の確認は、婦人科的な診察や超音波検査によって行われます。
腫瘍のサイズやタイプ、癌でないかどうかを診断するためには、MRI、CTといった画像検査が一般的に行われることが大半で、更に残念なことに卵巣のう腫が癌であると診断された場合には、血液中に分泌されている物質、腫瘍マーカーを測定しなくてはなりません。
診断で一番重要なのは、癌であるかどうかのポイントです。
ただし卵巣は身体の臓器の中でも、お腹の奥深くに位置しているため、診断技術が進歩している現在でも、卵巣のう腫が癌であるか否かの鑑別は非完全にできるわけではありません。
従って卵巣のう腫が5~6cm以上のある程度の大きさになってしまっていたり、癌の可能性がある場合には、外科的手術で腫瘍部分を摘出することが治療の原則になります。
そして摘出した腫瘍が癌であるかどうかは、顕微鏡の検査で最終的に確認する必要があります。
ただし卵巣ホルモンの分泌の具合によっては、卵巣が腫大することもあるために、卵巣腫瘍ではなく生理的な腫大の可能性が高い場合には、経過を見守ることもあります。
手術は腫瘍部分だけを摘出するケースと、腫瘍のある側の卵巣、卵管を含めて摘出するケースに分かれ、また手術のアプローチの方法も、腹部を直接切り開いて行うケースと、腹腔鏡というカメラを腹部に挿入するケースがありますが腹腔鏡を使用する手術では傷は小さくて済みます。
万が一顕微鏡の検査で卵巣のう腫が癌であると診断された場合には、拡大手術と、術後には抗癌剤治療が必要になってしまいます。
多嚢胞性卵巣はPCO=Poly Cystic Ovariesという医学用語がついていますが、卵巣を覆っている皮膜が厚く硬くなってしまい、成長した卵子が排卵不可能になることで出口を失った状態を指します。
卵子は次々に成長し続けますが、成長した卵子が卵巣に溜まっていくことで卵巣自体が大きく腫れ上がってしまいます。
卵巣に溜まった卵を超音波で検査すると、真珠のネックレスのように細胞が連なって見えることから、多嚢胞性卵巣は「ネックレスサイン」とも呼ばれます。
月経不順、肥満、不妊、多毛、ニキビなどの男性化が症状となって現れますが、内分泌的特徴としては、血中のLH基礎値が高くなり、LH-RHテストでは血中LHが通常の5から10倍という著明な増加、血中FSHは2から3倍という僅かな増加が見られます。
また、日本人には比較的頻度は少なくありますが、アンドロゲンも増加します。多嚢胞性卵巣の治療法は何種類か選択肢があります。
排卵誘発剤で卵胞の発育を促す「クロミッド療法」、クロミッド療法だけでは効果が見られない場合には、副腎皮質ホルモンを追加する「クロミッド+ステロイド療法」、直接卵巣を刺激するためOHSS(卵巣過剰刺激症症候群)になる頻度が高いために注意が必要な「HMG+HCG療法」、最近ではあまり行われていませんが、外科的手術によって卵巣にくさび状の切り目を入れ、厚くなった皮を傷つけることによって排卵しやすくする「卵巣楔状切除術」、そして腹腔鏡で行う「卵巣穿刺術・卵巣焼灼術」が多嚢胞性卵巣の治療法です。
卵巣の病気には色々な種類がありますが、卵巣は女性の身体の中でも最も重要と言える大事な機能を持った臓器です。
この卵巣が病気になってしまうと、将来子供を産めなくなってしまう可能性もあるので、まだ出産前の若い年齢層の女性は特に定期的に婦人科で検診を受ける必要があります。
卵管炎と卵巣炎も卵巣の病気ですが、この2つは多くの場合併発して引き起こされるため、合わせて「子宮付属器炎」と呼ばれます。
子宮付属器炎は大腸菌、淋菌、クラミジアなどが子宮に入り、卵管へ進入することで起こる病気です。
最近特に増加傾向になるのが、STDの1つであるクラミジアによるもので、原因菌が判明したら、女性だけではなく、必ずパートナーと一緒に治療を行わなくてはなりません。
また、卵巣の病気である子宮付属器炎は、人工妊娠中絶や流産、出産がきっかけになることもあります。
放置してしまうと腹膜炎や敗血症などの更に深刻な病気の原因になったり、不妊症の原因になってしまうこともあるので注意が必要です。
下腹部の痛みや発熱を伴う場合には、緊急入院しなくてはなりません。
病院で抗生物質や消炎剤などで炎症を抑えます発熱がおさまっても慢性化を予防するため、更に数週間に渡って様子を見なくてはなりません。
抗生物質や消炎剤で炎症を抑えても症状が改善しない場合には、卵管を切除して溜まった膿や水を出す外科的手術を行うケースも出てきます。
早期に発見できれば手術をしなくて済む可能性が高くなりますので、少しでも異変を感じたらすぐに病院で検査を受けましょう。
多嚢胞性卵巣症候群はPCO=Polycystic ovali syndrome=Stein-Leventhal(スタイン-レーベンタール)症候群という医学病名で、高アンドロゲン慢性無排卵症と呼ばれることもあります。
両側卵巣多嚢胞性腫大を有し、慢性無排卵、視床下部・下垂体・卵巣系の周期性が失われてしまい、この期間に悪循環が成立して卵巣から過剰なアンドロゲンが分泌されることによって、多毛など、身体の男性化を引き起こします。
多嚢胞性卵巣症候群の発病は思春期前後が多いのが特徴ですが、将来糖尿病や子宮体癌の危険こそあっても、特別に深刻な疾患ではありません。
主な症状は多毛などの男性化、月経異常、肥満、卵巣の多嚢胞性腫大で、妊娠を希望する場合には経口剤の排卵誘発剤クロミフェンを服用することによって、ほとんどのケースで治療は可能になります。
妊娠を希望しない場合には、低容量ピルやプロゲステロン製剤で月経の不順を改善し、男性ホルモンの低下を図るとともに、エストロゲンとプロゲステロンのバランスを取り、将来的に子宮体癌が起こす可能性を下げます。
多嚢胞性卵巣症候群の治療に使われるエストロゲンとは、ピルに含有される女性ホルモンで、更年期障害の治療やピルとして避妊に使われる他、子宮摘出手術後のホルモン療法に使用されます。
エストロゲンを投与すると、短時間で脳内のノルアドレナリン活性を高める作用があり、稀なケースではありますが、エストロゲンを投与してから5ヶ月以内に、典型的なパニック障害を引き起こすことでも知られています。
卵巣の出血は女性にとって恐ろしい症状で、心配になりますよね。
不正出血とは月経や分娩などによる正常な出血とは異なり、性器から出血してしまうことをいいます。
膣や外陰部から起こることもありますが、不正出血の多くは子宮から起こります。
卵巣からの出血には幾つか原因が考えられますが、不正出血の中でも性器に器質的疾患がないのにも関わらず不正出血することを機能性出血と呼びます。
機能性終結は黄体ホルモンや卵胞刺激ホルモンなど、排卵に関与する色々なホルモンの分泌異常によって、排卵障害が生じ、子宮、卵巣から出血するケースが大半です。
特に卵巣の機能がまだ未熟で不安定な思春期や、逆に卵巣機能が衰え始める更年期には、この機能性出血はよく見られます。
また、無排卵周期症とは、排卵がないにも関わらず、子宮から周期的な不正出血が見られる症状で、抱卵ホルモンの分泌の異常が主な原因と考えられます。
無排卵周期症は思春期によく見られます。
そして子宮内膜増殖症も不正出血の一部ですが、通常子宮内膜は、卵胞ホルモンの働きを受けて増殖し、その後黄体ホルモンの影響を受け、妊娠しなかった場合には、不正出血を伴いながら剥がれ落ちて身体の外に排出されるのが通常のサイクルです。
いわゆる月経ですね。
けれど排卵が起こらずに卵胞ホルモンの分泌が長く続いてしまうことがあります。
この際、本来剥がれ落ちる筈の子宮内膜が剥がれ落ちずに肥厚し続け、子宮からの不正出血を引き起こしてしまうというわけです。
更年期や思春期に多く見られる症状です。
卵巣機能不全は、卵巣機能障害とも呼ばれますが、性腺刺激ホルモン(ゴナドトロビン)の刺激を受けても卵胞の発育といった従来の卵巣機能が正常に働かない状態を言います。
無月経、希発月経、頻発月経といった月経不順、不正子宮出血、過多月経、過少月経など月経量の異常が代表的な卵巣機能不全の症状です。
病気ではありませんが、妊娠による無月経、閉経期、子宮頸管ポリープ、子宮筋腫、卵巣嚢腫や子宮頸癌といった良性及び悪性腫瘍など、卵巣機能不全と症状がよく似た病気が何種類かありますので、いずれにしても婦人科での診察が必要になります。
具体的な症状と原因ですが、月経が起こらない、あるいは月経の周期が不規則だったり、短い月経周期が頻繁に起こったり、月経が終わってすぐに始まったり、月経がいつまでも続いたり、また突然子宮からの出血が不定期的に見られることもあります。
こうした症状は、卵巣の働きが十分でないために起こります。
卵巣は視床下部、下垂体からのホルモンによって順調に卵巣からのホルモンを分泌します。従って、視床下部や下垂体の働きが悪いと、卵巣の働きは不十分になります。
過度なダイエットや神経性の食思不振症でも、視床下部の機能は低下します。
下垂体からプロラクチンが過剰に分泌されたり、甲状線機能障害、精神科の治療のための薬も、卵巣の働きには良い影響を与えません。
卵巣機能不全は、身体からの影響だけではなく、精神的にも大きな影響を受けるということです。
卵巣癌の症状とはどのようなものなのでしょうか。
卵巣は子宮の両脇にそれぞれ1つづつある楕円形の臓器で、サイズは親指大です。
卵巣癌の症状も初期にはほとんど自覚症状がないのが厄介な点です。
生殖細胞である卵子は卵巣で成熟し、放出されます。
周期的に女性ホルモンを分泌する重要な働きもしています。
卵巣にできる腫瘍の85%は良性で、卵巣の腫瘍はその発生する組織によって大きく分かれてます。
最も多いのは上皮性腫瘍で、上皮性腫瘍は卵巣の表層を覆う細胞に由来します。
上皮性腫瘍の中には、良性腫瘍と悪性腫瘍=癌の他、良性と悪性の中間的な性質を持つ中間群と呼ばれる腫瘍があります。
上皮性腫瘍は更に5つの細胞型に分類されますが、それぞれが異なった性格を持っています。
上皮性の癌は卵巣癌の90%を占め、卵巣癌の代表と言えます。
卵巣癌には、転移しにくい癌と転移しやすい癌に分かれます。
転移しにくい卵巣癌は、癌の発生から長期間卵巣内に留まり、特別に卵巣癌の自覚症状がないまま、発育します。
腫瘍が大きくなると、下腹部にしこりが触れたり、圧迫感を感じます。
膀胱が圧迫されることによって頻繁に尿意を催し、婦人科で受診して卵巣癌が発見されることもあります。
転移しやすい癌の場合ですと、腫瘍が卵巣内で小さいうちに転移してしまうため、腹水のために腹部全体が大きくなるとか、胸水が溜まるために息切れがしやすいなどという、転移による症状ではじめて身体の異変を自覚することが珍しくありません。
多のう胞性卵巣症候群(PCO)という病名は、一般的には馴染みのない名前かも知れませんが、意外と多のう胞性卵巣症候群に悩む女性は多くいらっしゃいます。
月経不順で婦人科を訪れて多のう胞性卵巣症候群だと診断される方も多くいますが、月経不順の症状を抱える約20%の女性が多のう胞性卵巣症候群の可能性を持ちます。
この病気の原因ははっきりしていませんが、症状は比較的はっきりしています。
代表的な症状は、無月経やまれにしか月経が起こらない稀発月経といった月経不順です。
婦人科では超音波検査を受けることになりますが、超音波検査をすると、卵巣の中にのう胞(小さな袋状)がたくさん見ることができます。
また血液検査では、脳下垂体から出る黄体形成ホルモン(LH)というホルモンが高い値になります。
目に見える症状としては、肥満、ニキビ、多毛などの男性ホルモンが働きすぎることによって引き起こされる症状、また不妊との関係性も指摘されています。
ただし日本人には肥満やニキビ、多毛などの症状が出ることは比較的稀ではあります。
治療法は将来出産を希望する場合とそうでない場合で差が出てきます。
治療法として第一に選択されるのは、排卵誘発剤で、クロミフェン(クロミッド)という薬を使用しますが、幸いこの薬には、高い排卵率を得る効果(60%)があります。
クロミフェンで排卵が起こらなければ、排卵誘発剤の量を増やしたり、血液中のホルモンの量を調べながら、並行して他のホルモン剤を使った治療法を行うことになります。
卵巣嚢腫の手術は、一般的に婦人科系の手術の中でも、かなり簡単な部類に入ります。
もちろん、卵巣嚢腫の手術が簡単とは言っても、卵巣という女性の身体の中で最も重要と言える臓器の手術ですから、もちろん慎重な対応が求められますが。
卵巣膿腫には良性と悪性がありますが、良性と判断される場合には、多くの場合、腹腔鏡を使用し、腫瘍部分だけを除去することができます。
麻酔は全身麻酔ですが、おへその下か上に非常に小さな皮膚切開を行い、お腹の中を観察するための内視鏡カメラを挿入します。
1cm以下の切開を更に数ヶ所追加し、そこから遠隔操作が可能な手術機械を挿入して施術します。
腹腔鏡による手術の特徴は、術後お腹の傷がほとんど目立たないので、女性のよっては嬉しい手術方法です。
けれどこの腹腔鏡手術が不可能なタイプの卵巣膿腫、あるいは悪性の可能性が高い場合には、通常の開腹による外科的手術を行うしかありません。
手術自体は簡単なものですが、子宮内膜症性膿胞に限っては、術後妊娠に対する影響が考えられますので、あくまで慎重を要することは確かです。
現段階では、子宮内膜症性嚢胞の治療方針は病院や医師によってかなりの差が見られます。
特にまだ出産を経験しておらず、将来的に子供を産みたいと希望している女性の方は、将来の妊娠に悪影響を及ぼす治療法は絶対に避けなくてはなりません。
出産する希望があることを医師に伝え、将来の妊娠の可能性を潰さないような治療法を提供してくれる医師と病院を探さなくてはならないのです。
卵巣の病気はその多くが卵巣の痛みなどの自覚症状を初期の頃には全くと言って良いほど伴いません。
従って卵巣の病気は進行してからではないと発見されにくいという問題点がありますが、卵巣の病気が進行してからの痛みというのは、時に耐えがたいほど強烈なものです。
最も強烈なのが、茎捻転を合併した卵巣膿腫です。
茎捻転は腫れた卵巣が回転して激しい痛みを引き起こしてしまう状態で、茎捻転は救急車で運ばれてすぐに緊急入院、緊急手術の必要があるほど危険な状態ですが、こうした身体にも大きな負担をかけてしまうほど進行が進む前に、定期的な婦人科検診で子宮の異常はチェックしなくてはなりません。
前身状態が悪く、急にお腹が苦しくなって腹水が溜まっているような感じを覚えたなら、悪性の可能性が高くなります。
また、手術の後にも化学療法が必要になってきますので、治療には大変な負担と期間がかかってしまうのです。
卵巣腫瘍の症状は、腫瘍が大きくない時には自覚症状がありませんが、大きくなってしまってからは急にスカートがきつくなったり、腹部の膨満感を感じます。
更に腹部の圧迫症状として、膀胱が圧迫されて刺激されることによって尿意を頻繁に感じる(頻尿)ようになったり、腸が圧迫されて便秘の症状が現れることもあります。
頻尿や便秘の症状で病院を訪れ、卵巣の病気を発見される患者さんも少なくありません。
いずれにしても身体に異変を感じたらすぐに診察を受けることが大切なのです。